第一号機、苦難の開発秘話

世界から地雷がなくなる日を目指して
ついにカンボジアで始動した第一号機

耐爆テストは、1999年6月から9月までの3か月間、カンボジアのコンポンチュナン州の地雷原で行われました。

テストに臨んだのは、お披露目のときに指摘された問題を改善した第一号機「BM307-V5」。内容は、「対人地雷及び指向性地雷による耐爆テスト」「対人地雷除去テスト」「防御確認テスト」「作業効率テスト」など、多岐に渡りました。

これまで現地調査や国内での実験を通じ、さまざまな状況を想定したテストを行ってきたとはいえ、実際の地雷を除去するのは初めて。ロータリーカッタに砂や木の枝が入り込んでしまったり、回転数が足らず止まってしまうこともありました。

指向性地雷 (クレイモア、鉄球)による耐爆テスト

指向性地雷による運転席の耐爆性・耐久性・安全性テスト

何か問題が起きれば、そのつど再製作や調整しては、やり直すという繰り返し。ついに、すべてのテストに合格。実用に足る地雷除去機として高い評価を得て、カンボジアヘ第一号機2台の納入が決定。さらに、このテスト結果を受けて、カンボジア同様に地雷の被害に悩むアフガニスタンヘも1台の納入が正式に決定しました。

2000年4月、カンボジア北部の地雷原、バッタンバン州。そこには、日本からやってきた地雷除去機を興味深げに眺める人々と、カンボジア地雷対策センター(CMAC)のスタッフにオペレーション指導をする雨宮の姿がありました。地雷という悪魔の兵器が世界から消滅する日を目指して、小さくも大きな第一歩が記された瞬間でした。

CMACのスタッフにオペレーション・技術指導

そして、樹木が生い茂るカンボジアの場合、実際に地雷作業を進めていくうち、油圧ショベル型のほうが優れている点が実感とともにわかってきました。

まず、アームにリーチがあるので作業員と地雷の距離が遠く、安全性が高いこと。さらに、人間の腕に近い動きができるので、草木が生い茂る場所や斜面でも上にも下にも届きます。

密林地帯でも自由自在の油圧ショベル型

リモートコントロールを使わず、作業員による目視で確実に地雷を除去

また、リモートコントロール型は、作業員は地雷から離れたところから遠隔操作で機械を動かすため安全性は確保できます。しかし、200~300メートル離れた場所で操作を行うため、前方が見えないために本当に除去できたのかどうかがわかりづらいのです。もし、ひとつでも除去できなかった地雷が残っている可能性があったら、カンボジアのCMACもその場所に“安全宣言”を出せません。しかし、油圧ショベル型は作業員が目視をしながら作業をするため、より確実に地雷を除去することができるのです。

こうして、第一号機、二号機はカンボジア、アフガニスタンで産声をあげることになりました。そして、油圧ショベルの耐用時間が通常6,000~8,000時間といわれるなか、累計作業時間が1万時間を超えた現在もなお、地雷原の真っ只中で日々爆発音を響かせ続けています。

地元の子どもたちと、新型地雷除去機の見学会

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